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COLUMNコラム

助産師は見た!~女性の悩みと出産の関係~

2024.4.9 カラダのこと

先日現役助産師で活躍しているインストラクター仲間がレッスンにきてくださいました。勤務されているレディースクリニックのお話を伺うと「子宮脱の患者さんが増えている」という話になりました。「子宮脱は年齢ももちろん関係ありますが、無痛分娩が増えているので今後もっと増えてくると思います。」とのこと。年を重ねると子宮脱の症状がでることは理解できるのですが、無痛分娩が子宮脱のリスクとどう関係しているのでしょう?彼女に詳しくきいてみました。

子宮脱とは?

子宮脱とは文字通り「子宮がでてしまう」症状。子宮が本来の位置より下がり膣内に出てしまった状態が「子宮下垂」、膣の外に一部、もしくは全部出てしまった状態が「子宮脱」です。子宮が下がることにより、その近くにある膣や膀胱も本来の位置より下がってしまうリスクもあります。

無痛分娩、吸引分娩、子宮脱の関係

そもそも出産には次の3つの要素が必要です。
1 娩出力(陣痛と腹圧や努責(いきみ))
2 産道(骨産道と軟産道)
3 娩出物(赤ちゃんや胎盤)

この3要素のチームワークが良く、なにも問題のない場合が安産となります。
出産の視点から子宮脱を見た場合、原因としては難産や多産、巨大児の出産があげられます。問題は様々ですが陣痛が弱い、骨盤が狭い、産道が硬い、赤ちゃんが大きい、分娩中に赤ちゃんが苦しくなる、胎盤が赤ちゃんが出るより前に剥がれてしまう等々あります。

無痛分娩には①陣痛が来てから行うものと②分娩日を決めて陣痛がない状態で行うもの:計画無痛分娩の2種類があります。特に②計画無痛分娩は自分の陣痛が全くないところから始まるので産道の柔らかさが不十分な場合があります。また麻酔が効いているので赤ちゃんが産道を降りてきていているのにいきむタイミングや方向が分からない、陣痛促進剤で陣痛をつけるので陣痛が弱くなってしまうといったことがあります。陣痛が弱くなれば分娩所要時間が遷延するので、そのうちに赤ちゃんにもストレスがかかり心拍が弱くなったりして娩出を急がなくてはならなくなります。だからといって陣痛促進剤を強めると過強陣痛にとなり赤ちゃんが苦しくなるので促進剤の使用自体も十分な注意が必要です。

こういった出産時のトラブル対策、つまり分娩を急ぐための術の1つとして吸引分娩があります。吸引分娩は赤ちゃんが膣の出口まで来ているけどいきみ(努責)では出てくることができず、赤ちゃんが出口で留まる時間が長くなる場合に行われます。時間が長くなる=赤ちゃんが苦しくなる場合が多いので早くお産を終了させるために吸引分娩を行います。吸引分娩では膣の出口を広くするために会陰切開を大きめに入れることが多くあります。また子宮底部(子宮のてっぺん)を押して赤ちゃんが降りることを助ける操作(クリステレル圧出法)を併用することもあります。これは結構な圧力をかけないと効果がありません。どちらも最近では回数や時間制限のルールがあります。吸引カップ(吸引分娩の際赤ちゃんの頭に当てて使用する道具)を何度も引けば、赤ちゃんの頭はもちろんですが産道にもかなり負荷がかかります。

こう言った背景から自然分娩より無痛分娩の方が吸引分娩になる率が高く、結果として産道への負担も高くなるため産後・将来的に子宮脱になる恐れがあると言えます。

これからも注視していきます

まだまだ日本での無痛分娩の歴史は浅く、メジャーにはなっていませんが確実に増えています。歴史が浅い分、その後の経過を何十年と追っている調査はとても少ないです。今の60歳代の人たちにわずかに無痛分娩の経験者が出てきたという状況です。無痛分娩に関わらず吸引分娩直後には子宮が下がってしまうことが多く、これは負荷がかかったことを意味すると考えられます。理論的には将来的な子宮脱と吸引分娩の因果関係はあると思われます。50歳代でも子宮下垂感を訴える患者さんはいます。今後も子宮脱の患者さんの出産歴を気にしていきます。新しい知見があればお知らせします。

彼女が送ってくださったレポートをほぼそのまま掲載させていただきました。出産は肉体的にも精神的にも大仕事!ですね。ちなみに彼女はご自身のクリニックの患者様のためにピラティスインストラクターの資格を取られました。骨盤底筋や腹圧を活性化するピラティスは女性特有の悩みに効果的だと医療従事者の立場から実感しておられます。貴重なお話をありがとうございました。

名古屋市パーソナル専門ピラティススタジオトアーには産後のケアでお越しになるお客様もおられます。体を鍛える、引き締めるはもちろん「体のケア」という面でもピラティスは効果的だと言われています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。